政府税制調査会は2011年度税制改正で、高齢者から孫に向けた生前贈与をしやすくする検討にはいった。
相続税の非課税枠を先取りする贈与税の非課税枠について、対象を2世代後の孫にまで拡大する案が有力。
現役世代への高齢者の資産移転を後押しすることで、消費の刺激につなげるのが狙いだ。
贈与税の負担を軽減する一方、相続税は基礎控除枠の縮小などによる増税も同時に検討。生前贈与を促す。
23年度から相続税が増税となりそう。基礎控除の引き下げ、生命保険金控除・死亡退職金控除の引き下げなどが予想される。最高税率の引き上げは難しくても、税率の累進構造の見直しもあるかもしれない。
相続時精算課税制度の枠を孫に拡大など、生前贈与を促す措置も拡充される方向性。
相続税のない国もあるわけで、あの手この手で税収不足を補おうとしている。所得税では2000万円を超える部分の給与所得控除がなくなりそうであったり、株式優遇税制も見直しの対象となっている。
消費税の増税も含めて、医療・年金に手厚い社会保障大国である以上やむをえないようだ。
しかし、自助努力で老後の蓄えや家族の安心のために遺しておこうとしている財産まで狙われているようで、国家がそこまでやっていいのと疑問が生じる。TVで成果の上がらない事業仕分けを見ても、われわれの税金や保険料の使い道に対する信頼なんて持てそうにないというのに。
愚痴っても仕方ないので、話を元に戻すと、相続対策は「評価を下げる」と「生前贈与」が二本柱になる。税制が変われば、相続税の見込み額を改めて計算してみて、対策を考えてみればよい。安心に暮らしていくことを念頭に、無理のない範囲で長期的にバランスの取れた対策をとることをお勧めする。