自分は現在、築10年ほどの賃貸物件で一人暮らしをしております。
とある夜更けのこと。
シーンとした部屋で本など読んでおりますと、壁や天井のあたりからミシリミシリと音がするのでございます。
現代では、このような現象を「家鳴り(やなり)」と呼び、湿度や温度の関係で云々といった説明がなされるようであります。
古来の日本にも家鳴りと呼ばれる現象が怪異として伝えられており、江戸時代の妖怪を集めた画集「画図百鬼夜行」では、小鬼が家を揺さぶっている様子が描かれております。
「あります調」はここまでにしておいて、現象を絵で表現するというのは面白いですね。
人間の想像力の豊かさを感じます。
現象を具現化した妖怪は他にもいて、たとえばゲゲゲの鬼太郎でおなじみの「ぬりかべ」。
あれは壁の妖怪というよりは、夜道を歩いている時に目に見えない壁のようなモノに前をふさがれて進めなくなる現象、に対して名付けられたものであるようです。
それを水木しげる先生が絵で表現したものが現在のぬりかべとなったと。
なんだかわからないモノを絵にすることで恐怖心が和らいだりする効果もあったのだと思います。
今と違って昔は夜になれば何も見えない真っ暗闇ですし。
・・・今回は、夏らしい話題を選んでみました。
といっても自分は怪談好きなわけでもなく、例えば洗面所の横の戸棚から女の人の顔がのぞくとか、ベッドの下の隙間から女の人の顔がのぞくとか、ああいうのは苦手です。
ああ恐ろしや。
武田