税理士の手嶋です。
先日、妻の実家で稲刈りの手伝いをしてきました。天候にも恵まれ、
とても気持ちの良い汗をかきました。
普段インドアで仕事している分、外で体を動かすのはいいものです。
労働のご褒美は採れたての新米でした。
前日まで田んぼで実っていたお米を食べることができるなんて、贅沢ですよね。
新米は色つや、香り、食感、味と文句なしにおいしいかったです。
実りの秋に感謝、ごちそうさまでした。
さて今日は印鑑のお話です。
自筆証書遺言の作成をする場合には
① 本人が遺言の全文を記載すること
② 作成した日付を記載すること
③ 自分で署名し捺印すること
が要件になります。
このとき捺印は、実印の必要はなく認印でも法的効力はあります。
しかし、ひとたび遺言書について、誰が作ったのか、本当に正しいのか、偽造ではないのかと
相続人間で争いになった場合には実印と認印では事実の立証の手間が違ってきます。
京都の老舗かばん屋さんの相続では、遺言書が2通発見され、一つには実印、
もう一方には認印が使われていました。
認印が使用された遺言書について裁判になり、
「重要な文書なのに認印が使われるのは極めて不自然。真正な遺言書とは認められない」
との判決が出ています。この裁判は最高裁まで行き、判決が確定しています。
遺言書の作成にあたっては、このような事実認定の争いを避けるためにも、
公正証書遺言の作成をお勧めしています。
しかし手間、費用などを考えて自筆証書遺言を作成する場合には、
重要な書類ですから実印を使用した方が安心かもしれませんね。
税理士の手嶋です。
NISAご存知ですか?
最近は証券会社のCMをよく見かけるようになり、お客さんから内容について聞かれることもあります。
NISAは平成26年1月から開始する、年間100万円の元本金額を上限に株式等の売却益、配当などが
非課税扱いになる制度です。
専用口座で取引し、対象期間は5年、最大500万円まで非課税で株式投資ができます。
メリットは
売却益、配当について非課税となること
デメリットは
損失が生じても損益通算はできないこと
損失の繰越控除はできないこと
でしょうか。
NISA口座内で保有している株式等に関しては、その他の銘柄と損益通算することができません。
NISA口座以外の口座に入っている株式等との通算が出来ないだけでなく、
NISA口座内の株式等の間でも通算ができません。
NISAでしか取引しない場合には、売却益、配当は非課税ですから損益通算の必要はないのですが、
NISA口座以外でも取引している場合には、注意が必要です。
儲かっても課税されないのは魅力ですが、基本は投資です。元本の保証はありません。
株式市場への参加者を増やすための税制面でのインセンティブです。
株で儲かったお金は非課税になるという、勝負に勝った場合の皮算用だけをしていると
痛い目見るかもしれません。判断は慎重に行いましょう。
【今日のポイント】
NISA口座で損失、NISA口座以外で利益が生じた場合に、利益と損失は相殺されず、
利益金額に対してのみ課税される。
税理士の手嶋です。
マイナンバー法は、平成25年5月末に官報公布され、平成27年10月頃に施行される見通しです。
同制度では、住民一人ひとりに12桁の個人番号を割り当て、まずは社会保障・税・防災の分野で
平成28年1月から運用が始まります。
確定申告書やその他の税務署提出資料にも個人番号を記載することになります。
ところで法人番号に触れる報道はほとんどないため社会的な認知度は低いのですが、
企業に対しても、国税庁が法人番号を割り当てます。
法務省が管轄する商業・法人登記に記載されている12桁の「会社法人等番号」を基にして、
13桁の新しい番号として生成して通知することになっています。
(1)企業などの商号または名称
(2)本店または主な事務所の所在地
(3)法人番号
からなる「基本3情報」は、国税庁が公表し、公表された法人番号は、民間でも自由に使え、
利用範囲の制限はありません。
当面は民間企業の利用を認めず、不正利用には厳罰を科す個人番号とは対照的です。
現在、法人には先の12桁の「会社法人等番号」の他に、所轄税務署による8桁の整理番号もあります。
整理番号は所轄税務署ごとの番号であるため本店所在地が移転し、所轄税務署が変わると
整理番号も変わります。
移転の度に整理番号が変わるのは、国税にとっても管理しにくいでしょうから、
マイナンバーが始まればそちらに変わるかもしれません。
その他、県税、市税も独自の番号を振っていますので、新たな共通番号に変わり
管理の無駄がなくなればいいですね。
とにかく住基カードみたいにあれは何だったのって??ならないように願います。
システム構築して終わりではなく、国民の生活に役立つ有意義なものになるように期待しています。
税理士の手嶋です。
東京オリンピック決まりました。良かったですね~。
7年後というのに少なからず高揚感があります。是非、観戦したいものです。
さて本題、先日、最高裁判所により、嫡出子と非嫡出子の相続分の取り扱いについて、
憲法で保障される法の下の平等に反しているとの違憲判断が下されました。
民法第900条(法定相続分)四のただし書きにおいて
「・・・嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、・・・」
とあります。
簡単に言うと、結婚していない男女の間に生まれた子供の相続の権利を半分にしています。
この取り扱いを学んだとき、こんな差別していいのか!?と疑問に思ったものです。
この相続格差をめぐる司法判断の動きは1993年の東京高裁の違憲判断から
20年を経過してようやく決着したわけです。
それにしてもどうしてこんなに長くかかるのか。
もう少し何とかならないのでしょうか。
今回の違憲判断は相続税法にも影響があります。
相続税はその計算過程で、民法900条の規定による法定相続分により分割したものと
仮定して計算することになっています。このとき適用される税率が決まります。
この他税法には法律婚を重視した規定が多くあり、これらは内縁関係では適用されません。
所得税の配偶者控除・寡婦控除、相続税の配偶者の税額軽減、
贈与税の居住用家屋の特例贈与などがそうです。
たしかに法律婚ならば戸籍により客観的に判断できても、
事実婚を客観的に判断するのは難しいです。
しかし家族観やライフスタイルは変わっていきます。
今後はますます時代に合わせた法の整備が求められます。