税理士の手嶋です。
今年も残すところあと1月となりました。とても1年が早いです。
税制改正により25年度で適用が終わるものについては、実行するか決めなければなりません。
上場株式等を譲渡した場合の軽減税率10%は、平成25年12月31日をもって廃止され、
平成26年1月1日以後は20%の税率が適用されます。
上場株式等に利益が生じている場合には、平成25年中に売却を行い、利益を確定することで
税率は10%で済みます。
また過去3年間に生じた上場株式等に係る譲渡損失を繰り越している場合には
その損失との損益通算をすることも可能です。
ただし誰かの扶養親族になっている人の場合には注意が必要です。
上場株式等の管理が「源泉徴収ありの特定口座」であれば、確定申告不要となり、
いくら所得があっても扶養から外れることはありません。
この場合には、上場株式等の所得を扶養控除等の判定の対象となる合計所得金額に
含めないことになっているからです。
しかし「源泉徴収なしの特定口座」であれば、自ら確定申告することになり、
所得が38万円を超えると扶養から外れてしまいます。
繰越損失との相殺も確定申告をするため、例えば本年の所得50万円と繰越損失50万円が
相殺され差引所得が0円になっても、扶養控除等の判定となる合計所得は38万円を
超えているので扶養から外れてしまいます。
税制は複雑で分かりにくい面が多分にあります。
一般の人はなかなか”源泉徴収あり”と“源泉徴収なし”の違いってわからないと思います。
軽減税率の適用や繰越損失との相殺といった有利な面だけにとらわれて、
不利益をこうむらないように注意して下さい。
税理士の手嶋です。
少し前のことですが、東京税理士会所属の宮田泰夫先生の研修会に参加しました。
内容は相続税の土地評価の具体例や相続ビジネスの勘所、落とし穴についてです。
写真やイラストが多数使われた講義は非常にわかりやすく、相続税の土地評価を中心に、
実務で迷うようなポイントについて丁寧に解説されていました。
軽軽豊富な方の話を聞くのは非常に勉強になります。
土地の評価をするときは必ず現地確認をして、地目、利用状況、権利関係、減額要因といった
様々なことを調べますが、見るべきポイントや検討事項について参考になる部分が多かったです。
土地の評価方法は、課税の公平を図るため財産評価基本通達で一応は明文化されていますが、
細かなところまでは決まっていませんし、論理的な解釈をして判断しなければならないことが
多くあります。
例えば、著しい高低差、不合理な場合、総合的に判断、参酌して評価などなど・・・・
あいまいな部分は、公表事例や経験則から評価方法を検討します。
分かりきったことをまとめている本はたくさんありますが、有効なノウハウに関する情報は
なかなか無いので、非常に有益な研修でした。
それにしても土地の評価は奥深いです。
税理士の手嶋です。
朝晩が寒くなりました。早いもので11月です。今年も残すところ2カ月、大事に過ごしましょう。
先日、弁護士からの相談で、戦前戦後の相続税について調べる機会がありました。
税務大学校の教授が書いた、「相続税100年の軌跡」なるものがあり、
そもそも相続税が日露戦争の戦費調達のために創設されたこと、
ヨーロッパ各国の税制を調査し、参考にしながら独自の仕組みを考案して組み立てたこと
などの記述がありました。
明治31年から昭和22年までは、相続と言えば家督相続でした。
この当時は贈与税の課税はなく、推定相続人など特定の者に高額な贈与をした場合には
相続が開始したものとみなして相続税を課税する特殊な形態をとっていたようです。
相続は死亡によって開始する、いまの民法の考え方とは違います。
また納税手続きは、相続人が自ら申告をする現行の申告納税方式ではなく、
財産目録の提出を受け、政府が課税価額を通知する賦課課税方式だったとのこと。
ここも大きく違います。
その他、昭和25年には相続税の最高税率が90%だったことなど、なかなか興味深い内容でした。
課税の在り方は時代によって変わるものだな~と改めて感じました。