倒産防止共済の、加入⇒解約⇒再加入を繰り返すことが問題視され、以下のように改正されます。
令和6年10月1日以後に共済契約を解除し、
その後共済契約を再締結した場合、
その解除の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は、
損金算入できない。
逆に言うと、令和6年9月30日までに契約を解除した場合は、
すぐに契約を再締結しても、
掛金は損金にできるということになります。
よつば会計
中田裕介
令和6年6月より定額減税が始まります。
令和6年分に限り所得税3万円・住民税1万円の合計4万円が減税となり、扶養の数に応じて減税額が増加します。
例)本人、配偶者、子の3人家族で、配偶者と子の所得が48万円以下である場合
4万円×3人=12万円減税(所得税9万円・住民税3万円)
サラリーマンの方は、6月以降の給料から天引きされる源泉所得税および住民税の金額が減税され、手取り金額が増加します。
個人事業主の方は、所得税は第1期予定納税分から控除、住民税は第1期分納税額から控除されます。
(個人事業主の場合、本人分(4万円)の減税は予定納税等の際に控除されますが、扶養分の減税は確定申告の際に控除されます)
また、年間の所得税・住民税の金額が定額減税の金額よりも少ない場合(定額減税の減税メリットが一部受けられない場合)は、減税の代わりにお住まいの市区町村より金銭が給付される予定です。
※令和6年分の所得金額が1,805万円超の方は定額減税が受けられない等、一定の条件がありますのでご注意ください。
早いもので明日から12月。年が明けたら確定申告です。令和5年分の所得税確定申告から配当金についての取り扱いが変わります。
令和4年税制改正で、上場株式等の配当所得についての改正が行われました。
改正前は、所得税と住民税で課税方式が異なっていても問題ありませんでした。所得税は総合課税を選択し、住民税は申告不要を選択することができました。しかし、令和5年分の確定申告からは同じ課税方式を選択しなければいけません。
配当所得に対する課税方式は、以下の3つです。課税方式によって、税額は変わってきます。
申告不要制度 | 総合課税 | 申告分離課税 | |
税 率 |
所得税 15.315% 住民税 5% |
所得税 累進課税 住民税 10% |
所得税 15.315% 住民税 5% |
配当控除 | なし | あり | なし |
損益通算 | なし | なし | あり |
合計所得への影響 | なし | 加算 | 加算 |
総合課税を選択し配当控除を適用した場合や申告分離課税を選択し過去の赤字と通算することで所得税は還付。しかし、住民税の合計所得金額が増加し、国民健康保険や後期高齢医療保険、介護保険といったものに影響を与えてしまうこともありえます。
また、合計所得が増えると所得税の扶養の範囲にも影響があるため、世帯主の配偶者控除等が減るかもしれません。
いずれの方法を選択するかは慎重に判断してください。
税理士の檜山です。
令和5年10月、国税庁は「居住用の区分所有財産(分譲マンション)の評価」についてパブリックコメントを発表しました。
令和6年1月から、相続、贈与等により取得した財産の評価方法が変わります。
この改正により、分譲マンションの評価額は従来より上がることとなり、相続税または贈与税の負担が増加する可能性があります。
改正後の評価は、従来の評価額に建物の築年数や総階数、専有部分の所在階、敷地持分狭小度(敷地利用権の面積÷専有面積)を用いて計算した係数を乗じて算出されます。
築浅で上層階を所有する場合、令和5年の評価額に比べ令和6年の評価額は2倍超になるケースも想定されます。
令和5年中に贈与を行う場合、改正前の評価でOKです。ただ、市場の取引価額と令和5年の評価額に極端に大きな乖離がある場合、否認される可能性があるので注意が必要です。
また、小規模宅地の特例の適用を受けることが可能なマンションの場合は相続まで所有していたら適用可能、しかし生前に贈与したことで受けられなくなるケースも想定されます。
贈与を行う場合は慎重な判断が必要です。
いよいよ10月1日からインボイス制度が開始します。
世の中まだまだ混乱している中ですが、今回はETCを利用した高速道路利用料金について、現時点での書類保存要件について記載します。
※前提として、支払った料金について仕入税額控除を受けたい場合に限ります。
①クレジットカード会社が交付する利用明細書は、適格請求書には該当しない。
一定期間の高速道路の利用日・区間・金額がズラッと記載されているこれまでもお馴染みの明細書です。これは適格請求書には該当しないということなので、これだけを保存していてもダメです。
②高速道路会社が運営するホームページから、適格簡易請求書に該当する「利用証明書」をダウンロードして保存する必要がある。
これが手間だなと感じていました。ただ、以下③に記載する方法でも良いと公開されています。
③利用証明書は毎月保存する必要はなく、利用する高速道路会社ごとに、10月1日以後一回のみ保存すればOK
例えばAとBが運営する高速道路の料金をETCで支払っている場合、10月1日以後のAとBそれぞれの利用証明書を一回だけ保存し、あとはクレジットカード会社が交付するいつもの利用明細書を保存しておけば良い、ということになります。
空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除の特例が4年延長され、適用期限が令和9年12月末までとなりました。延長に伴い、以下の改正が行われます。
従来の空き家譲渡特例は、家屋・土地を一緒に譲渡する場合は譲渡の日までに家屋の耐震基準に適合する工事を行う必要があり、また、土地のみの譲渡の場合は全ての家屋を取壊し更地にすることが求められていました。これを満たさない場合は適用が不可となっていました。
今回の改正では、譲渡の日の年の翌年2月15日までに購入者が空き家の耐震リフォーム又は除却を行えばよいこととなり、適用要件を満たしやすくなりました。
従来の空き家譲渡特例は、空き家を相続した人数が複数の場合であっても、それぞれ3000万円の控除をすることができました。
今回の改正では、空き家を相続した人数が3人以上の場合は、1人当たりの控除額は2000万円に引き下げられます。
これらの規定は、令和6年1月1日以降の譲渡から適用されます。
改修・除却の要件が緩和されるので使いやすくなる一方、実家の不動産を売却する予定で3人以上の共有としているケースでは令和5年中に売却の場合と令和6年以後に売却の場合で税金の負担が変わってきますので注意が必要です。
税理士の手嶋です。
2023年税制改正大綱が公表されました。
ニュースでは防衛費増額に向けた増税方針とNISAの抜本的拡充と恒久化が大きく取り扱われています。 NISAは良いとして、防衛費に復興税って、唐突ですね。
復興は終わったのですか?復興税の転用で被災地にしわ寄せはないのですか? 丁寧な説明で納得が得られるのでしょうか・・・、やれやれ。
さて今回の大綱は相続・贈与、NISA、インボイス制度と確認すべき改正が多く出ましたが、 相続税関連の改正について触れます。
①生前贈与加算制度の見直し(加算期間の延長)
生前贈与加算は3年から7年へ延長されました。加算対象者の範囲については変更はなさそうです。 令和6年1月1日の贈与から適用されます。 令和9年1月1日以後開始の相続からだんだん加算年数が長くなり、 令和13年1月1日以後相続開始となると加算期間が7年間になります。
②相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税制度についても年110万円の基礎控除を導入されます。 また、相続発生時の加算額の計算が基礎控除110万円の控除後となっています。大きな変更点ですね。
生前贈与による節税を考える場合に、暦年贈与と精算課税贈与の有利不利を検討して 制度を選択することになりそうです。
③その他
教育資金の一括贈与・結婚子育て資金の一括贈与が延長され、内容が見直しされました。 マンションの相続税評価ついては具体的な算定方法や改正時期は不明です。 まだ他にもありますがここでは省略します。
相続税と贈与税の体系の見直しは3~4年前から予告されていたものがようやく公表されました。 暦年贈与は複雑になりすぎなかった点は良かったと思います。 何にしても改正内容が決まりましたので、相続税対策として何が有効か、今後整理してお伝えします。
令和4年も終わりが近づき、年末調整の時期が近づいてきました。
今回は年末調整の時に勤務先へ提出することの多い「扶養控除等申告書」の令和5年分を確認します。
①「非居住者である親族」欄の追加
国外居住者を扶養控除の対象とする場合、令和5年からは一定の要件に該当する親族のみが対象となるため、要件をクリアしているか確認する欄が追加されました。
控除対象となるのは、16歳以上30歳未満、70歳以上、または30歳以上70歳未満の者で留学生・障害者・38万円以上の送金を受けている者、となります。
なお、確認書類の提出も必要となるので要注意です。
②「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄の追加
控除対象となる配偶者や扶養親族の中で、退職所得が見込まれる人がいる場合は記入します。
年々記入事項が増えたり分かりにくくなっている年末調整関連書類ですが、必要事項を書き忘れたりすると思わぬ損をすることも考えられます。
よくよく注意して提出しましょう!
税理士の檜山です。
働き方の多様化、コロナ禍によるリモートワークの影響などによりサラリーマンの副業が昔に比べ増えています。
その副業に関して国税庁が8月に所得税基本通達の一部改正案について意見募集が行われました。雑所得と事業所得の範囲について明確化され、令和4年分からの所得税の申告に適用される見込みです。
改正案で追加となった部分は、「その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。」です。
副業の場合の収入金額300万円という基準が明確化されました。
事業所得から雑所得へ変更となった場合以下の影響が想定されます。
その副業が、
「社会通念上事業と称するに至る程度で行っている」場合や
「給与等の収入があり年間売上300万円以下だけど、事業といえるだけの理論武装がある」場合は
引き続き事業所得での申告でよいですが、該当しない場合は雑所得になるのでご注意ください。
【令和4年10月追記】
通達改正案に対する意見が多数あったことで見直しがされました。
具体的には、所得税法上、事業所得者には、帳簿書類の保存が義務付けられているところ、一般に帳簿書類の保存がある場合には、営利性や有償性、継続性や反復性、自己の危険と計算における企画遂行性があると考えられることから、反証に代えて、帳簿書類の保存がある場合には、原則として、事業所得に区分することとされています。
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するという点には変わりはないものの、収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば、原則、事業所得に区分されることとなります。
「相続税と贈与税が一体化されます、贈与は早めに進めましょう」、昨年はそういう見出しが結構目につきました。
令和4年の税制改正では暦年贈与に対する規制が見送られましたが、気になるところです。
贈与することは、あげる人ともらう人の自由ですから、贈与が全くできなくなることではありません。相続税の節税対策としての贈与に対する課税が厳しくなるだろうということです。
現時点で予想されているのは、相続した者に対する生前贈与の3年加算が10年~15年に延長されるというものです。毎年の贈与税そのものはむしろ安くなるのではないかとも言われています。
2~3年の猶予期間が設けられるでしょうが、贈与履歴を残すことが求められるようになると思います。私の個人的な予想では、マイナンバーカードの取得が条件となるマイナポータルに贈与履歴を登録することで、加算期間が軽減されるとか、加算税(罰金)が軽減されるとかがありそうです。
もともと贈与税は相続税逃れを規制するためのものですから、相続税がかからない人に贈与税をかける必要はないわけです。
毎年の贈与はむしろやりやすくなるとも考えられ、生前にもらった財産が雲散霧消し、あとで相続税を払う時に困る人が出てくるかもしれません。
法案の骨子が見えない現時点では対策を講じようがありませんが、相続税が気になる人は今まで通り贈与を進めていけばよいと思います。
今でも有効ですが、暦年贈与が改正された後に重要になってくるのは、贈与税のかからない贈与です。進学・結婚などの祝い金、扶養義務者間の生活費や教育費の負担に対しては贈与税がかかりません。贈与税の非課税財産と言われるものです。
非課税財産の贈与については常識的な範囲を超えたり、贈与のやり方によっては不適切として税務調査で否認されることも考えられます。活用に際しては専門家に相談し、贈与の履歴を作成保存しておき、せっかくの努力が無駄にならないよう適切に進めていくことをお勧めします。
ご相談をいただくことが、一番の報酬と考えています。お気軽にご相談いただければ幸いです。
最後になりましたが、2022年の年頭に当たって、この地から遠くの人々も含め、佳き年となりますようお祈りいたします。
税理士 中田誠治