不動産所得が1人に集中している場合や、借入金の終わった古い貸家・アパートなどを持っておられる場合には、毎年の所得税が高くなります。
その理由は、所得税は所得が増えるほど税率が高くなる(累進課税)ため、所得が増えれば増えるほど高い税率が課され、税金の負担が大きくなります。
1人に集中している所得を、他の家族へ分散することにより、全体での税負担を軽減することができます。
【1人で1000万円の課税所得(※)がある場合】
所得税・住民税は約280万円
【2人で各500万円ずつ課税所得(※)がある場合】
所得税・住民税は1人約108万円、2人合計で約216万円
※課税所得とは、収入から経費をひいたもの(所得金額)から、さらに配偶者控除や基礎控除などの各種所得控除を差し引いた金額です。
所得を分散する主な方法としては、貸家建物を家族に贈与したり、不動産管理会社を設立して貸家建物を不動産管理会社に売却する、などの方法があります。
【事例】平成元年に4,000万円で建築したアパート(H28年固定資産税評価額 420万円)を贈与した場合
贈与時の建物の評価額 420万円×0.7=294万円
贈与税 約18万円、登録免許税 約9万円、不動産取得税 約13万円
このように、古い貸家やアパートなどを家族に贈与する場合には、贈与税等や名義変更の諸経費もそれほどかかりません。
※古い貸家やアパートの贈与を受けた人は、扶養に入ることができなくなる場合や、社会保険料を自分で負担しなければならない場合がありますので、事前に十分な検討が必要です。
※掲載の情報については、2016年9月1日現在のものです。