よつば通信 Vol.20② 認知症と遺産分割協議
認知症と遺産分割協議
最近の遺産相続の場では高齢化による問題が多く見受けられます。よくあるケースでは相続人の中に認知症の方がいる場合です。
遺産分割をするためには物事を判断する意思能力が必要であり、意思能力が欠如していると判断される場合には遺産分割協議書への署名・押印は無効となります。
手続き
分割協議を行うには、認知症の方の意見を代弁する成年後見人を申し立てる必要があります。その手続きは家庭裁判所で行います。裁判所への申立の際に遺産分割案の提出が求められ、その内容は認知症の方の法定相続分を確保したものでなければいけません。
後見制度の家庭裁判所の許可は数ヶ月要することが一般的です。相続の手続きを早くスタートさせる必要もあります。
相続対策などは困難になります
たとえば相続対策として、認知症の方の相続分を少なくすることは、家庭裁判所の許可がおりません。後見人の役割は認知症の方の財産を守り維持することだからです。
後見人を申し立てると、遺産分割にも制約がかかりますし、被後見人からの贈与も難しくなります。
また、相続手続きのために後見人を定めれば、認知症の方の財産管理は、亡くなるまで後見人が行うことになります。
まとめ
年齢を重ねれば思わぬ病気になることもあります。元気なうちに、相続を考え、遺言書を作成するなどの対策を打っておくことをお勧めします。
※掲載の情報については、2018年7月17日現在のものです。