今回は、贈与を活用した相続税がかからない生命保険の加入方法をご説明します。相続税の節税を図りながら、子に相続税の納税資金などの一定の現金を遺すことを目的とします。
子へ現金を贈与していくことにためらいがあっても、贈与した現金が保険料に充てられることによって無駄遣いを防ぎ、相続税の納税資金などの本当に必要な時に遺すことができます。
①生命保険の加入方式
子を契約者(保険料負担者)・保険金の受取人として、被保険者を父または母とします。相続時に確実に支払いを受けるために終身保険に加入することが大切です。利回りを上げるために、医療保険などの特約を付けず、支払期間も短めに設定したほうが良いでしょう。
②保険料の支払方法
子の口座から保険料が引落しされる時期に、父または母が保険料に相当する金額を子の口座に振り込みます。つまり、毎年の現金贈与によって保険料を支払うことになります。
③年間の保険料が110万円を超える場合は贈与税の申告
相続税がかかることを前提とすれば、贈与する金額は110万円を超えるほうが相続税の節税となります。
④保険金に対しては相続税ではなく所得税がかかります(一時所得)
(受け取った保険金-支払った保険料-50万円)× 1/2 = 一時所得
⑤所得税がどれくらいかかるか
支払った保険料が4,000万円で、保険金が5,000万円の場合、
(5,000万円-4,000万円-50万円)×1/2=475万円(一時所得)
この475万円に対する所得税と住民税は100万円~150万円くらいで済みます。
⑥相続税との比較
保険金5,000万円が相続税の対象となるものであれば、非課税枠が1,500万円として、相続税の税率が30%の場合相続税が1,050万円かかります。
相続の時に生命保険の非課税枠を超える部分には相続税がかかることに注意が必要です。
⑦まとめ
相続税の納税資金を用意するために父または母が6,000万円の生命保険に加入する場合には、非課税枠(相続人2人の場合には1,000万円)の金額のみ本人が契約者の保険とし、残りの5,000万円は子を契約者とする方式をお勧めします。
※掲載の内容は、2021年9月1日時点のものです。