~令和5年度の贈与税改正(1)~
「相続または遺贈により財産を取得した者」が被相続人から受けた贈与の相続財産への加算期間が3年から7年に延長されることになりました。
(猶予期間)
①令和8年12月31日までに開始する相続については、加算
期間は従来通り3年です。
②令和9年以降、加算期間が順次延長され、令和13年1月1
日以降の相続から、加算期間が7年となります。
令和6年から順次延長されるのは実際に相続が起こった
場合の取り扱いで、令和6年の贈与からは加算期間が7年
になると考えなければなりません。
(軽減措置)
相続開始前4~7年以内の贈与については、その期間の贈与の合計額から100万円を差し引いた金額を加算することになります。
(生前贈与の考え方)
生前贈与に対する相続税の取り扱いが変わったということは、相続税の節税対策として生前贈与が有効であるということの証明でもあります。改正内容を正しく理解して、生前贈与を考えていきましょう。
(例1)相続財産2億円、相続人子2人、相続税見込み額3,340万円
子2人に300万円ずつ5年間贈与すると、相続財産は3,000万円減少し、相続税見込み額は900万円減少して2,440万円になります。
贈与税は19万円×2人×5年=190万円ですから、実質710万円の節税となります。
(例2)相続財産2億円、相続人子2人、相続税見込み額3,340万円
子とその配偶者、孫あわせて6人に300万円ずつ5年間贈与すると、相続財産は9,000万円減少し、相続税見込み額は2,380万円減少して960万円になります。
贈与税は19万円×6人×5年=570万円ですから、実質1,810万円の節税となります。
※ただし、令和6年以降の、子に対する贈与は相続開始から7年以内のものは相続財産に加算されます。加算された贈与にかかった贈与税は相続税から控除されます。
子や孫に財産をいつどのように渡すかによって相続税や贈与税が大きく変わります。300万円の贈与に対する贈与税は19万円ですから実質の課税率は6.3%です。多くの場合、相続するよりも生前贈与のほうが、税金が安くなります。
また、「相続または遺贈により財産を取得した者」以外に対する贈与は加算対象外ですから、孫などに対する贈与は金額を下げて長期にわたって行えば贈与税を抑えることができます。
相続や贈与についてどのように考えればよいかご関心があればご遠慮なくご相談ください。相続税の見込み額の試算に基づいて、どのように相続させたいかというお考えを反映した対策について、ご説明致します。