よつば通信2023年第3号「非課税の贈与(都度贈与)について」
親子間・夫婦間であってもその額によっては贈与税がかかりますが、生活費や教育費など日々の暮らしの中で必要なお金に対して贈与税はかかりません。今回は耳慣れないかもしれませんが、「都度贈与」についてご説明します。
「生活費・教育費・結婚費用・出産費用の負担に贈与税はかからない」
非課税とされるためには、生活や教育・結婚・出産などのために通常必要と認められる金額を、必要な都度渡すことが条件となります。
ほかにも、入学祝い・成人祝い・卒業祝い・結婚祝い・出産祝い・香典・お花代・お見舞い・中元・歳暮・お年玉などにも贈与税はかかりません。課税になじまないとも言われますが、社会生活上一般に行われているものは贈与税の対象とはなりません。ただし、どの場合も非常識に高額なものには贈与税がかかります。繰り返しますが、必要な都度渡すことが大変重要なポイントです。
「都度贈与は贈与税の申告、相続財産への加算なども不要です」
たとえば、孫の学費や入学金、仕送りを祖父母が負担しても贈与税はかかりませんし、1年間で110万円を超えても申告や納税の必要はありません。
「都度贈与であることを記録に残すことが大切です」
ただし、相続税がかかりそうなご家庭では、預金通帳に生活費とか、誰への祝い金、誰の入学金など使途をメモして、その通帳を永久保存しておくような対策は必要になります。
「同居は節税になります」
孫の教育費の負担(くどいようですが都度贈与)などは別居でも可能ですが、子が親よりもはるかに収入が多い場合、子への生活費の仕送りは非課税と認められない可能性があります。しかし同居の場合には家族全体の生活費をだれが負担したとしても不自然ではないように思います。二世帯・三世帯住宅を祖父母が自分名義で購入した場合でも、子や孫から家賃をもらう必要はなく(もらわない方が一般的かもしれません)、固定資産税・管理費用・水道光熱費など家族のだれが負担しても贈与ということにはなりません。
「まとめ」
相続税の改正によって、生前贈与に対する課税が厳しくなったと感じます。配偶者に対する居住用財産の贈与の特例・教育資金贈与の特例・住宅取得資金贈与の特例など、一定の非課税枠の活用についても検討する価値があると思います。
もし相続が起きた場合にどれくらいの相続税がかかるのか、どれくらいの課税率になるのかなどのご心配がある場合には、ご遠慮なくご相談ください。
※掲載内容は、令和5年12月1日時点のものです。